日本全国の建設現場では、深刻な人手不足が続いています。建設産業専門団体連合会が実施した調査では、技能労働者の採用について「必要だったが1人も採用できなかった」と回答した企業が54.2%に達しました。前年の41.1%から大きく増加しており、採用難は年々深刻化しています。
現場を支える職人の高齢化も進んでいます。若手が入ってこない現場では、経験豊富な職人が複数の役割を兼務せざるを得ず、結果として長時間労働につながるケースも少なくありません。週休2日制(4週8休)を導入している企業はまだ18.9%にとどまり、公共工事主体の企業では36.4%が実現している一方、民間工事主体では12.5%というのが現状です。
こうした環境のなかで、建設作業員の仕事を選ぶことにはどのような意味があるのでしょうか。
建設作業員の給与はどれくらいか
建設作業員の年収について、求人情報の集計データでは平均約454万円、月給換算で約38万円という水準が示されています。地域による差も大きく、東京都では約539万円と高い水準になる一方、新潟県では約391万円と地域差が顕著です。
国際的な給与調査サイトのデータでは、日本の建設作業員の平均年収は約426万円、東京の建設作業員に限れば約519万円という数値も示されています。経験を重ねたベテラン層ではさらに上積みがあり、8年以上の経験を持つ作業員では年収478万円程度というデータもあります。
ただし、建設作業員の給与は「日給」で支払われるケースも多く、働いた日数によって月収が変動します。天候不良で現場が休みになれば収入も減るため、安定した収入を求めるなら、月給制を採用している企業や、日給保証制度のある企業を選ぶことが現実的な選択肢になります。
| 職種 | 平均年収の目安 | 特徴 | 向いている人 |
|---|
| 大工 | 528万円 | 木造建築の中心、技術の幅が広い | 手仕事が好きで独立を視野に入れたい人 |
| 電気工 | 452万円 | 国家資格が必要、需要が安定 | 資格を活かして専門性を高めたい人 |
| 配管工 | 385万円 | 住宅・ビル設備に必須の職種 | 細かい作業を丁寧にこなせる人 |
| 鉄筋工 | 316万円 | 躯体工事の要、チーム作業が多い | 体力に自信があり体を動かすのが好きな人 |
| 建設作業員(一般) | 約454万円 | 多様な現場作業を担当、未経験から始めやすい | これから建設業界に入りたい人 |
未経験から建設作業員になるには
建設作業員は、特別な資格がなくても始められる職種です。実際、未経験者を積極的に採用する企業は多く、現場で先輩職人について学びながら技術を身につけるのが一般的な流れです。
ただし、長く働き、収入を上げていくためには、段階的なスキルアップが欠かせません。最初のステップとしておすすめなのが、以下の資格です。
- 建設業界共通の資格:足場の組立て等作業主任者、玉掛け技能講習、フォークリフト運転技能講習などは、取得することで任される仕事の幅が広がります。
- 職長・安全衛生責任者教育:現場のリーダーとして安全を管理する立場になるための教育で、昇給やキャリアアップにつながります。
- 建設キャリアアップシステム(CCUS):現場での経験や資格を「建設就業者カード」に記録する仕組みで、技能レベルに応じて評価され、給与の透明化に役立ちます。
こうした資格やシステムを活用することで、単なる日雇いの作業員から、評価される技能者へとステップアップできます。
建設現場で働く外国人労働者の現状
人手不足を背景に、建設分野では外国人労働者の受け入れも進んでいます。2019年に創設された在留資格「特定技能」により、建設分野でも外国人材が正規に働けるようになりました。技能実習を修了した外国人が引き続き働ける道が開かれたことで、企業側も長期的な人材育成に取り組む環境が整いつつあります。
現場では、言葉や文化の違いを乗り越えて、日本人と外国人が同じチームで働く姿が当たり前になりつつあります。実際に、ベトナム人社員が1級型枠施工技能士に合格した事例や、インドネシア人労働者に現場責任者を任せる企業も出てきています。建設業界は、国籍を問わず能力を発揮できる職場へと変わりつつあるのです。
働き方改革と建設作業員の将来
建設業界の働き方改革は、少しずつですが前進しています。週休2日制の導入率はまだ低いものの、前年の10.3%から18.9%へと増加しており、改善の兆しは確かに見られます。特に公共工事を主体とする企業では導入率が高く、民間工事でも追従の動きが広がっています。
猛暑対策も変化しています。元請企業による対策について、「明らかに強化された」と答えた企業が38.9%、「一部強化されたが大きな変化はない」が41.9%となっており、経口補水液や塩分タブレットの常備配布、休憩所の拡大などが進んでいます。現場の安全意識は着実に高まっているといえるでしょう。
建設作業員という仕事は、決して楽な仕事ではありません。重い荷物を扱い、季節を問わず屋外で働くことも多い。しかし、その分だけ、手をかけた仕事の成果が形として残るというやりがいがあります。自分の技術で建物が立ち上がっていく過程を見られる仕事は、ほかにはなかなかありません。
建設作業員として長く働くための心構え
現場で長く働き続けるためには、体力の管理と技術の継続的な向上が欠かせません。特に40代以降は、無理をせず、自分のペースで働ける職場環境を選ぶことが重要です。高所作業が多い現場と、屋内作業中心の現場では、身体への負担が大きく異なります。
転職を考える際には、単に日当の高さだけで判断せず、社会保険の完備、月給制か日給制か、教育体制の充実度なども確認しましょう。建設業界のなかにも、未経験者向けの研修制度を整え、資格取得費用を会社が負担する企業があります。長期的な視点で自分を育ててくれる職場を選ぶことが、結果として収入の安定につながります。
まとめ
建設作業員は、日本の社会基盤を支えるなくてはならない仕事です。人手不足が続くなか、未経験者や外国人労働者にとっての門戸は広がっており、技術と経験を積めば積むほど評価される職業でもあります。給与水準は地域や職種によって差がありますが、資格取得やキャリアアップによって収入を伸ばす道はしっかりと用意されています。
建設の仕事に興味があるなら、まずは地元の建設会社の求人情報を調べてみてください。多くの企業が未経験者を歓迎し、研修制度を用意しています。現場で働く人々の姿を見学できる機会も増えています。自分の手で社会をつくる仕事に、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。