頭痛と一口に言っても、原因も症状も人それぞれです。日本頭痛学会の診療ガイドラインでは、一次性頭痛として「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つが主要なタイプに挙げられています。この3つは対処法がまったく異なるため、まずは自分の痛みがどのタイプに当てはまるのかを見極めることが第一歩です。
緊張型頭痛は日本人に最も多く、成人の約22%、推定2,200万人が経験すると言われます。特徴は頭全体がベルトで締め付けられるような鈍い痛みで、肩こりや首こりを伴うことが多い点。デスクワークやスマホ操作で前かがみの姿勢が続くと、首や肩の筋肉が緊張し、血流が滞って痛みを引き起こします。動いたり、入浴して体を温めたりすると楽になるのがこのタイプの特徴です。
片頭痛は推定約840万人。ズキズキと脈打つような痛みが頭の片側に現れ、動くと悪化するのが特徴です。光や音、においに敏感になり、吐き気を伴うことも。20〜40代の女性に多く、月経周期や睡眠の変化、気圧の変動などが引き金になります。「休日に寝だめしたら痛くなった」という人は片頭痛の可能性が高いでしょう。
群発頭痛は3つの中では最も少ないものの、じっとしていられないほどの激しい痛みが片側の目やこめかみに襲いかかるのが特徴です。数週間から数か月間、ほぼ毎日同じ時間に発作が起きるのが典型パターンで、市販の鎮痛薬ではほとんど効果がありません。群発頭痛が疑われる場合は早めに専門医の診察を受けてください。
タイプ別の対処法と、今すぐできるセルフケア
緊張型頭痛:筋肉の緊張をほぐす
緊張型頭痛の痛みが起きたら、まず姿勢を正しましょう。背筋を伸ばし、肩をゆっくり回すだけでも首や肩の筋肉の緊張が和らぎます。ホットタオルや入浴で首筋から肩を温めるのも効果的です。こまめな休憩を挟みながら、1日数回ストレッチの時間を作る習慣が予防につながります。
片頭痛:静かな暗い部屋で休息
片頭痛の発作時は、動かずに静かな暗い部屋で休むのが基本です。睡眠時間は6〜9時間を目安にし、寝すぎも寝不足も避けましょう。市販薬を選ぶ際は、片頭痛に対応した成分を確認することが大切です。ただし、鎮痛薬を月に10日以上飲むと「薬物乱用頭痛」のリスクが高まるため、薬に頼りすぎないことも重要です。
気圧の変化に敏感な人へ
日本では約1,000万人以上が「天気痛」に悩んでいるとされ、雨の前日から頭が重くなるという人も少なくありません。低気圧が近づくと内耳の気圧センサーが刺激され、自律神経のバランスが乱れて痛みが出やすくなります。天気予報アプリの気圧情報をチェックし、気圧が下がりそうな日は無理な予定を入れない、耳まわりを温めるといった工夫が効果的です。
頭痛外来の受診を検討すべきサイン
次のような症状がある場合は、市販薬で様子を見ずに医療機関を受診してください。
- 突然、今まで経験したことのない激しい頭痛が起きた
- 高熱や激しい嘔吐、手足の麻痺、ろれつが回らないなどの症状を伴う
- 頭痛が1か月以内に急激に悪化した
- 週に何度も頭痛があり、日常生活に支障が出ている
- 市販薬が効かない、または月に10日以上薬を飲んでいる
「たかが頭痛」と軽く見るのは危険です。くも膜下出血や脳卒中など、命に関わる病気のサインである可能性もあります。症状が気になる場合は早めに脳神経外科や頭痛外来の専門医に相談しましょう。
頭痛外来の受診費用の目安
「脳神経外科は高そう」「MRIは自由診療では」と心配する人もいますが、日本の保険診療では費用は全国一律に定められています。MRI検査も医師が必要と判断すれば保険が適用されます。初診時の自己負担額の目安は次の通りです。
| 診療内容 | 1割負担の目安 | 3割負担の目安 |
|---|
| 診察のみ(検査なし) | 約300円前後 | 約900円前後 |
| 診察+MRI検査(単純MRI) | 約2,000円前後 | 約7,000円前後 |
| ※保険診療に基づく自己負担額の目安です。検査内容や処方の有無により変動します。 | | |
| 費用面の不安がある場合も、まずは相談してみてください。多くのクリニックでは、検査の必要性や費用について事前に丁寧に説明してくれます。 | | |
専門医で受けられる新しい治療の選択肢
頭痛外来では、問診と頭痛ダイアリーの記録に基づいて診断を行い、必要に応じてMRIなどの画像検査を実施します。片頭痛の予防薬としては、従来の薬に加えて、CGRP関連抗体薬による治療が日本でも広がりを見せています。2023年には片頭痛の急性期治療用として、非侵襲的ニューロモデュレーション機器が承認されるなど、選択肢は増え続けています。
トリプタン系の薬が効かない、副作用が強いといった悩みがある人には、新しいタイプの内服薬を提案されることもあります。片頭痛の予防と発作時の治療の両方に対応できる薬も登場しており、「今までの治療では改善が不十分だった」という人にとって、治療の幅は確実に広がっています。
頭痛でお困りの方は、まず「頭痛ダイアリー」に痛みの頻度、強さ、引き金となった状況を1〜2週間記録してみてください。受診の際にこの記録があれば、診断の精度が格段に上がります。自分の頭痛のタイプを知り、適切な対処法を選ぶこと。それがつらい痛みから卒業するための第一歩です。