日本の歯科医院の多くは「歯科」ですが、親知らずの抜歯や顎の病気、口腔内の腫瘍など専門的な外科処置を扱うのが歯科口腔外科です。一般の歯科医院でも親知らずは抜けますが、横向きに埋まった歯や神経が近い難しい症例になると、専門医のいる医院や大学病院をすすめられることも少なくありません。
東京都立病院機構などの医療機関では、局所麻酔だけでなく静脈麻酔や全身麻酔による安全な抜歯手術を提供しています。治療への強い恐怖がある方や、嘔吐反射が強い方、複数本をまとめて抜きたい方には、ウトウトとしたリラックスした状態で受けられる静脈内鎮静法も選択肢です。全身麻酔の場合は通常2泊3日程度の入院となり、血液検査や心電図などの術前検査を行います。
こんな症状は口腔外科が担当します
親知らずの抜歯がイメージとして強い口腔外科ですが、実際の守備範囲は広いものです。次のような症状で悩んでいるなら、まずは口腔外科の受診を検討してみてください。
- 横向きや斜めに生えて隣の歯を圧迫している親知らず
- 口が大きく開かない、あごに痛みや音がする
- 口の中にできものやしこりがある
- 舌が痛い、しびれる、違和感がある
- 他院で「抜歯しかない」と言われ、セカンドオピニオンを探している
特に「他院で抜歯しかないと言われた」というケースは多く、大阪府箕面市の口腔外科クリニックのように「できる限り歯を残す治療」を提案してくれる専門医もいます。必要に応じて抜歯を行うだけでなく、歯を残すための外科的処置も口腔外科医の大切な仕事です。
治療を選ぶときの比較ポイント
口腔外科のクリニックを選ぶ際、どのような点を確認すればいいのでしょうか。主な選択肢を比較表にまとめました。
| 項目 | 歯科口腔外科クリニック | 大学病院・総合病院 | 一般歯科医院 |
|---|
| 対象症例 | 親知らず・インプラント・顎関節症など | 腫瘍・外傷・難症例 | 比較的簡単な抜歯 |
| 麻酔対応 | 局所・静脈麻酔・全身麻酔(日帰り可) | 全身麻酔(入院)中心 | 局所麻酔中心 |
| 予約のしやすさ | 比較的取りやすい | 待ち時間が長い傾向 | 最も身近 |
| 費用感 | 保険診療なら手頃 | 保険診療 | 保険診療 |
| 設備 | 歯科用CT・オペ室完備の医院も | 充実した検査機器 | 医院により差がある |
| 費用について言えば、症状がある親知らずの抜歯は保険診療の対象です。3割負担の場合、まっすぐ生えている歯は1,000〜2,000円程度、横向きや埋まっている難しい症例は3,000〜7,000円前後が目安とされています。初診料やレントゲン、CT撮影の費用が別途かかるため、受診前に見積もりを確認すると安心です。 | | | |
抜歯当日とその後の過ごし方
治療当日は全身状態が良好であることが大切です。強い炎症がある場合や、血液をサラサラにする薬を服用中の方は、事前の確認や別日程への調整が必要になります。当日の流れは次の通りです。
- 診察とレントゲン・CT撮影で状態を確認
- 医師の判断で問題なければその日のうちに抜歯も可能
- 術後に痛み止めや抗生物質の処方を受け帰宅
術後の注意点は多くあります。抜歯当日は激しい運動や入浴を避け、シャワー程度にとどめましょう。アルコールは当日厳禁です。1週間はぶくぶくうがいを避け、傷口を指や舌で触らないことが大切です。上顎の抜歯後は2週間ほど鼻をかまないようにしてください。
抜歯後3〜5日目に突然強い痛みが出たり、口臭が強くなったりする場合はドライソケットの可能性があります。血の塊が早く取れて骨が露出してしまうこの合併症は、喫煙やストローの使用でリスクが高まります。症状があれば早めに受診しましょう。
地域の医療資源をうまく活用する
日本では全国どこに住んでいても、歯科口腔外科へのアクセスは比較的良好です。都市部では「親知らず専門外来」を設けるクリニックも増え、土日診療や予約不要の医院も選択肢に入ります。地方にお住まいの方は、まずかかりつけの歯科医院に相談し、必要なら大学病院や総合病院の口腔外科を紹介してもらう流れが一般的です。
歯科用CTを備えた医院は診断精度が高く、難症例ほどその価値が発揮されます。手術への不安が強い方は、静脈麻酔や全身麻酔に対応しているか事前に確認しておくと、当日の不安も和らぐでしょう。通いやすさと専門性のバランスを見ながら、自分に合う医院を選んでください。
口腔外科は「抜くだけ」の科ではありません。専門医の診断を受けることで、思わぬ保存治療の道が見つかることもあります。まずは一度、専門的な診察を受けてみてはいかがでしょうか。痛みや腫れを我慢する前に、信頼できる口腔外科医に相談することが、お口の健康を守る第一歩です。