国土交通省の統計によると、建設業の就業者はピーク時から200万人以上減り、現在は480万人前後で推移している。一方で建設投資額は回復基調にあり、人手が足りないまま現場を回している企業は少なくない。
直近の企業調査では、建設業で正社員の人手不足を感じる割合は6割を超え、全業種の中でも高い水準が続く。人手不足が原因で廃業に追い込まれる企業も増えており、これは経営課題というより存続に関わる問題だ。
背景には三つの構造的な要因がある。
一つ目は高齢化だ。建設業の就業者のうち55歳以上が約4割近くを占め、29歳以下は1割強にとどまる。熟練職人の引退が本格化するのに、後を継ぐ若手が圧倒的に足りない。
二つ目は3Kイメージの根強さ。「きつい・汚い・危険」という印象が若者の入職を妨げてきた。実際には空調服の普及やICT建機の導入で現場環境は変わりつつあるが、その情報はまだ十分に届いていない。
三つ目は労働条件の課題。建設業は他産業と比べて年間労働時間が長く、休日も少ない傾向がある。時間外労働の上限規制が始まった今も、現場の慣習を変えられずに苦労する企業は多い。
建設作業員の収入と働き方のいま
建設作業員の年収は、経験や資格、働く地域によって幅が大きい。求人サイトを見ると未経験者でも日給制で募集している企業は多く、経験を積んで資格を取れば収入は確実に伸びる。
施工管理職になれば平均年収は600万円から760万円程度。1級施工管理技士を取得し、大手企業の現場を任されるようになれば、1000万円を超えるケースも報告されている。
| キャリアの選択肢 | 年収の目安 | 向いている人 | 主なメリット | 押さえておきたい点 |
|---|
| 現場作業員(経験者) | 経験と地域による | 体を動かす仕事が好きな人 | 未経験から入りやすい | 体力の維持が欠かせない |
| 施工管理職 | 600万円〜760万円程度 | 現場全体をまとめたい人 | 収入が上がりやすい | 工程管理の責任が重い |
| 1級施工管理技士 | 800万円以上も可能 | 長くキャリアを積みたい人 | 大規模現場を任せられる | 実務経験と試験勉強が必要 |
| 特定技能外国人材 | 日本人と同等水準 | 多様な人材を受け入れたい企業 | 即戦力として活躍できる | 生活面の支援体制が要る |
| 30代の施工管理職として働く田中さんは、転職を機に月20時間ほど労働時間が減り、休日出勤もほぼなくなった。「給与は据え置きでしたが、その分、現場での生産性は上がった」と話す。働き方の改善は、給与の引き上げと同じくらい大切な魅力になりつつある。 | | | | |
現場で働き続けるための実践ガイド
資格でキャリアの幅を広げる
建設業で評価されるのは、やはり資格だ。まずは**建設キャリアアップシステム(CCUS)**に登録し、自分の職種や技能レベルを「見える化」するところから始めよう。等級が上がれば、賃金交渉の材料にもなる。
安全に働くうえで欠かせないのが、各種講習の受講だ。足場の組立て等作業主任者や玉掛け、フォークリフト運転などの資格は、現場で重宝される。企業によっては取得費用を負担してくれるところもあり、資格手当がつく場合が多い。
働き方改革とICTの波
建設業界では、測量や設計にドローンやICT建機を取り入れる動きが広がっている。熟練者しかできなかった作業が機械化されれば、若手でも高度な仕事に関われるようになる。
現場監督の負担を減らすため、タブレットで工程表を共有したり、写真管理をアプリ化したりする企業も増えた。こうした変化に対応できるかどうかが、これからの建設作業員の価値を左右する。
外国人材の受け入れと特定技能
人手不足を補う切り札として注目されているのが、特定技能制度だ。建設分野には特定技能1号と2号があり、2号は在留期間の更新が可能で家族の帯同も認められる。
ベトナム出身のグエンさんは特定技能で来日し、現場作業から施工管理の補助まで担当している。「最初は言葉の壁がありましたが、会社が日本語学習の時間を確保してくれたおかげで、いまは後輩の指導も任されています」と話す。受け入れ企業には日本語教育や生活支援の義務があるため、長く働ける環境づくりが前提となる。
地域の求人と支援を探すには
建設作業員の求人を探すなら、次の順番で動くとスムーズだ。
- ハローワークと建設業専門の求人サイトで、希望地域の募集を並行してチェックする
- 各都道府県の建設業協会が運営する就職支援窓口に相談する
- 未経験者は、地域で開講されている建設分野の職業訓練を調べて受講を検討する
- 面接時に、資格取得支援の有無や時間外労働の実態を必ず確認する
都市部ではICT施工を取り入れた現場が多く、地方では公共工事が中心となる。自分の住む地域でどんな工事が多く、どんな資格が求められているかを調べてから動くと、ミスマッチが少ない。
建設作業員は社会のインフラを支える仕事だ。高齢化や人手不足といった課題はあるものの、環境改善や技術革新によって働きやすい現場は確実に増えている。まずは気になる求人に足を運び、現場の空気を自分の目で確かめてみてほしい。