コロナ禍をきっかけに「そもそも100人呼ぶ必要があるのか」と問い直したカップルが、制限解除後も少人数婚を選び続けているのが2026年の特徴です。これは単なる対策の名残ではなく、結婚式に対する価値観そのものが変化したことを意味します。かつて「会社の上司や取引先も招待するのが常識」とされた時代から、仕事上の付き合いと私的な祝いの場を明確に分けるカップルが増えました。
招待客を絞ることは「ケチ」ではなく「丁寧」と受け止められる時代になったのです。総額は下がっても、一人あたりの料理や引出物にかける金額はむしろ上昇しています。「広く浅く」から「狭く深く」への転換が、数字にもはっきり表れています。
一方で、ブライダル大手3社のIR資料を分析したところ、平均単価は前年の約373万円から約396万円へと上昇しています。慣習的な演出を「取り入れたい」と答えた人は48.0%で、「取り入れたくない」が52.0%と過半数を占める調査結果もあります。定番演出が半ば義務化されていた時代から、パーソナライズや自由度を重視する時代へ移行し、こだわりを貫く演出に費用をかける傾向が強まっています。
挙式スタイル別の選び方と費用感
日本の結婚式には、神前式・人前式・教会式という三つの大きなスタイルがあります。神前式は神道の儀式に則って神様の前で誓いを立てる伝統的な形式で、三三九度の杯を交わす厳かな流れが特徴です。京都の世界遺産・上賀茂神社などでの挙式は、伝統を大切にしたいカップルに根強い人気があります。
人前式は宗教や伝統にとらわれず、ゲストの代表を立会人として誓いを立てる自由度の高い形式です。レストランやガーデンなど、場所を自由に選べ、オリジナリティあふれる演出が可能です。教会式は、白いバージンロードやステンドグラスを背景にしたロマンチックな形式で、ホテルや専門式場に多く用意されています。
費用の目安としては、一般的な披露宴(ゲスト60〜70名)で約300〜380万円、少人数婚(ゲスト20〜30名)で約150〜200万円、フォトウェディング(ふたりだけ)で約10〜30万円が相場です。式場の初回見積もりは最低限のプランで算出されていることが多く、打ち合わせを重ねると当初見積もりの1.2〜1.5倍に膨らむのが業界の常識です。契約前に予算上限をふたりで明確にしておくことが大切です。
費用の内訳と、知っておきたい資金計画
結婚式の費用は、挙式・披露宴が約150万円(全体の約50%)、衣装が約50万円(約17%)、料理・飲物が約50万円(約17%)、写真・映像が約30万円(約10%)、その他が約23万円(約8%)という内訳です。ゲスト70名の披露宴なら、料理・飲物が1人あたり1.5〜2.5万円で105〜175万円、衣装がドレスとタキシードで28〜55万円、装花が15〜30万円、引出物が1人あたり3,500〜5,500円で24.5〜38.5万円になります。
お色直しでカラードレスや和装を追加すると、さらに20〜40万円が必要です。ペーパーアイテム(招待状・席次表など)が5〜10万円、司会者への謝礼が5〜8万円、遠方ゲストへのお車代・宿泊費が10〜30万円、ブライダルエステやネイルなどの花嫁美容に5〜15万円と、細かい費用が積み重なって総額が膨らんでいきます。
| 費目 | 費用の目安(ゲスト70名) | 全体に占める割合 | 節約のポイント |
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| 挙式料・会場使用料 | 30〜50万円 | 約10% | 平日やオフシーズン割引を活用 |
| 料理・飲物 | 105〜175万円 | 約35% | 会費制やビュッフェ形式を検討 |
| 衣装(ドレス+タキシード) | 28〜55万円 | 約17% | レンタルの早期予約で割引 |
| 写真・映像 | 35〜70万円 | 約12% | データ納品のみに絞る |
| 装花 | 15〜30万円 | 約6% | シーズン花やグリーン主体に |
| 引出物・引菓子 | 24.5〜38.5万円 | 約8% | 数量を絞って質を上げる |
| その他(ペーパー・美容・謝礼など) | 25〜55万円 | 約12% | 手作りアイテムでカバー |
| ご祝儀の見込み額も資金計画では重要です。友人・会社の同僚からは約3万円、会社の上司・恩師からは約3〜5万円、兄弟姉妹からは約5〜10万円、叔父叔母などの親族からは約3〜5万円が相場です。ゲスト70名の披露宴ならご祝儀の総額はおよそ200〜260万円が見込めるため、自己負担を抑えることができます。 | | | |
地域別に広がる会場選びの選択肢
地域によって人気の会場タイプは大きく異なります。東京では、銀座一丁目駅から徒歩1分の「ザキッチンサルヴァトーレクオモギンザ」がテラスと有名シェフのイタリアンを楽しめるレストランウエディングとして人気です。挙式と披露宴を30名で約110万円からと、費用を抑えながら料理の質を重視するカップルに選ばれています。
表参道駅徒歩3分の「Casita」は、開放的なテラスと美味しい料理が評判で、30名で約140万円のプランを提供しています。赤坂駅徒歩2分の「MARRYGRANT AKASAKA」は、天井高15メートルの開放感あふれる空間で、家族中心の挙式と会食プランを10名で約49.5万円から提供。池袋の「OCEAN Casita」は地上220メートルからの絶景を楽しめる会場です。
京都では、伝統を重んじるカップルに上賀茂神社の神前式が人気です。世界遺産でもあるこの神社は、28名で約106万円と、静かで厳かな空気の中で家族に見守られながら式を挙げられます。白無垢と色打掛を選び、三三九度のみで和の格式を重視するカップルも多いようです。「しょうざんリゾート京都」は木組みの披露宴会場で、56名で約302万円と、高齢の方や小さな子どもにも配慮した段差のない設計が魅力です。
2026年を彩る新しい演出と、これからの準備
2026年の結婚式は、「脱・主役婚」が進み、主役はゲストという参加型の演出が定番になりつつあります。父と歩くバージンロードは約5割、花嫁の手紙は約4割、新郎のウエルカムスピーチは約2割にとどまり、儀式的な演出よりもゲストと一緒に過ごす時間を重視する傾向が強まっています。お色直しを行わず、歓談や撮影の時間を長く取るカップルが増えています。
Z世代のカップルは、既存のパッケージプランを選ばず、演出を自分たちでカスタマイズする傾向が強いといいます。InstagramやTikTokで「映える」情報に触れているためビジュアルへの感度は高いものの、「映え」のためだけに費用をかけるのではなく、自分たちの世界観を表現する手段としてデザインを重視します。サステナビリティへの関心も高く、装花を廃棄せず二次利用する取り組みや、地元の食材を使った料理を選ぶカップルも増えています。
準備を進めるうえでの手順としては、まず予算上限をふたりで話し合い、次に挙式スタイルと会場の候補を絞り込むことが大切です。見学の際は、初回見積もりが最低限のプランであることを念頭に置き、希望する演出をすべて伝えたうえで最終見積もりを確認しましょう。式場によっては、平日やオフシーズンの割引、早期予約特典、試食フェアなどがあります。
近くの神社やレストラン、ホテルを実際に訪れて雰囲気を確かめるのがおすすめです。ウェディングフェアや試食会に参加すれば、料理の質やスタッフの対応を直接確認できます。少人数婚なら、会費制パーティーやレストランウェディングのように、無理なくゲストをもてなせる形式が選択肢に加わります。ふたりの価値観に合った形を見つけ、無理のない予算で納得できる一日を計画してください。