建設産業専門団体連合会が実施した調査によると、技能労働者の採用について「必要だったが1人も採用できなかった」と回答した企業は54.2%に達した。前年の41.1%から大きく増加している数字だ。つまり、半分以上の建設会社が、必要な人手をまったく確保できていない。採用できた企業でも「予定通り」は14.1%にとどまり、「予定を下回ったが採用できた」が20.7%という内訳になっている。
人手不足の背景にあるのは、就業者の高齢化だ。建設業界では29歳以下の就業者が全体の1割強にまで減少しており、熟練技能者の大量退職が目前に迫っている。技術の継承が進まなければ、業界全体の競争力は確実に低下する。この状況を打開するため、各企業は採用活動を強化し、給与や休暇の面で待遇改善を進めている。
建設業界はかつて「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれた。だが現在は「新4K——給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる、かっこいい」を合言葉に、働き方の改革が進められている。新潟県をはじめとする自治体でも、週休2日適用工事の拡大や建設DXの推進など、業界全体のイメージを変える取り組みが続いている。
建設作業員の仕事の種類と年収の目安
建設現場と一口に言っても、そこには実にさまざまな職種が存在する。それぞれの仕事内容と年収の目安を整理してみよう。
| 職種 | 主な仕事内容 | 年収の目安 | 向いている人 |
|---|
| 土木作業員 | 道路・橋・ダムなどのインフラ整備 | 350万〜500万円 | 屋外での作業が好きな人 |
| 大工 | 住宅や建物の骨組み・内装仕上げ | 400万〜650万円 | ものづくりが好きな人 |
| とび職 | 高所作業・足場の組立て・鉄骨建方 | 400万〜700万円 | 高所でも集中力を保てる人 |
| 左官職人 | 壁や床の塗り仕上げ | 350万〜600万円 | 手先が器用で美意識がある人 |
| 電気工事士 | 建物内の配線・電気設備の設置 | 400万〜650万円 | 資格取得に意欲的な人 |
| 配管工 | 水道・ガス・空調の配管工事 | 350万〜550万円 | コツコツ作業が得意な人 |
| 解体工 | 建物の解体・撤去作業 | 300万〜500万円 | 体力に自信がある人 |
| 内装工 | クロス張り・床材施工などの仕上げ | 350万〜550万円 | 丁寧な作業を好む人 |
| 年収は経験や地域、会社規模によって幅がある。日給制の現場では、天候による収入の変動リスクを考慮する必要がある。ただ、慢性的な人手不足の影響で、建設業の賃金水準は全産業平均と比較して高く推移している地域も多い。 | | | |
未経験から建設作業員になるには
学歴や経験は問われない
建設業界は、学歴不問・未経験歓迎の求人が非常に多い。厚生労働省の一般職業紹介状況を見ても、建設分野の有効求人倍率は全国平均を上回り続けている。中卒・高卒でも正社員として働ける求人は多く、入社後にOJT(現場研修)で仕事を覚える前提の採用が一般的だ。
最初は資材運搬や補助作業からスタートし、徐々に専門作業を任されるケースが多い。たとえば東京の設備工事会社では、日給1万2000円〜1万8000円で未経験者を募集しており、経験・能力を考慮した上で優遇する企業もある。年収例として460万〜520万円を示す求人も見られる。
必要な資格とキャリアアップの道
未経験でも始められる仕事は多いが、キャリアを積むにつれて資格が重要性を増してくる。代表的なものとしては以下のような資格がある。
- 建設業に関する国家資格:建築士、電気工事士、技能士など
- 安全に関する資格:建設業で働くために必要な安全衛生教育、職長・安全衛生責任者教育など
- 建設キャリアアップシステム(CCUS):技能者の経験や資格を蓄積・見える化する仕組みで、建設業界でのキャリア形成の基盤となる
多くの企業が資格取得の支援を積極的に行っている。資格を取得すると資格手当が支給されるケースもあり、技術を身につければ専門職として長く活躍できる。建設キャリアアップシステムへの登録は、特定技能外国人を受け入れる企業にとっても必須の手続きとなっており、業界標準の仕組みとして定着しつつある。
求人の探し方と面接のポイント
建設業界の求人は、ハローワークのほか、建設業専門の求人サイトや地域の建設業協会を通じて探す方法がある。「建設業 未経験 求人」で検索すると、東京都内だけでも多数の求人がヒットする。応募の際は、以下の点を確認しておきたい。
- 雇用形態:正社員か日雇いか、日給制か月給制か
- 休日体制:週休2日制を導入しているか、4週8休を実現しているか
- 資格支援:資格取得費用の負担や手当の有無
- 現場のエリア:通勤圏内か、単身赴任が必要か
面接では、体力に自信があること、ものづくりに興味があること、長く働く意志があることを伝えると好印象だ。経験よりも継続力を重視する企業が多く、異業種からの転職者も歓迎されている。
建設業界で働くことの現実と魅力
良い面:手に職がつく、社会インフラを支える
建設作業員の最大の魅力は、手に職がつくことだ。技術は年齢を重ねても衰えにくく、経験を積むほど市場価値が上がる。熟練技能者の給与は若手と比べて格段に高い水準にある。また、道路や橋、住宅など、人々の生活の基盤を作る仕事であり、完成した建物や構造物が長く残るという達成感はほかの仕事では得がたい。
さらに、ICT建設機械の活用、ドローンによる測量、3次元データによるシミュレーション(BIM/CIM)など、現場のデジタル化も進んでいる。最新技術に触れながら働ける環境は、若い世代にとって魅力的な要素と言える。
厳しい面:身体的負担と天候の影響
一方で、建設現場の仕事は体力的な負担が大きく、ケガや事故のリスクと隣り合わせだ。安全衛生教育は徹底されているが、高所作業や重量物の運搬など、危険を伴う作業は少なくない。また、日給制の仕事では雨天や台風などの天候によって収入が左右される。労働時間が不規則になりがちな現場もあるため、働き方を事前にしっかり確認することが大切だ。
実際に現場で働く人の声
30代で事務職から建設業界に転職した男性は、こう話す。「最初は正直、体がついていくか不安だった。でも入社して1年で、基礎の技術と現場の流れを覚えられた。いまは資格取得の支援を受けながら、電気工事の専門技術を磨いている。同じ資格を持っている人同士のつながりもできて、仕事の幅が広がった」
40代で独立を目指すとび職の職人は、「若い頃から現場に入っていれば、技術も人脈も積める。大変なこともあるが、自分が組み立てた足場の上で仕事をする職人たちを見ると、誇りを感じる」と語る。
建設業界への転職を検討している人へのアドバイス
未経験から建設作業員を目指す場合、まずは見学会や体験入職を活用するのがおすすめだ。実際の現場の雰囲気を体感してから応募先を決めると、入社後のミスマッチを防げる。
次に、ハローワークの建設業向けコーナーや、地域の建設業協会が開催する就職相談会をチェックしてほしい。自治体によっては、建設業への就職を支援する補助制度を設けている場合もある。
最後に、複数の求人を比較することを忘れないでほしい。同じ未経験採用でも、日給の水準、休日の数、資格支援の内容は企業によって大きく異なる。求人票の情報だけでなく、面接で直接質問して確認することが重要だ。
建設業界は、確かに厳しい面もある。だが、人手不足が続く中で、働き手の価値は年々高まっている。技術を身につければ、年齢に関係なく長く働ける仕事でもある。社会の基盤を支える仕事に、誇りを持って携われる人にとって、これほどやりがいのある職場はないだろう。