まっすぐ生えた親知らずなら、近所の歯科医院でも問題なく抜けます。ところが横向きに埋まっていたり、根が太い神経に近かったりすると話は別です。そんなケースでは口腔外科の専門知識と設備が必要になります。
日本にはおよそ6万8千もの歯科医院がありますが、扱える外科処置の範囲は医院によって大きく違います。「普通の歯科医院で断られて、やっと口腔外科にたどり着いた」という声は少なくありません。特に多いのが三つの悩みです。痛みと麻酔への不安、費用の見通しが立たないこと、そして大学病院の予約がなかなか取れず治療まで数か月待つことです。
大阪市の山本さん(34歳)は、横向きに埋まった親知らずで歯茎が腫れ上がりました。近所の歯科医院で紹介状を書いてもらい、市内の口腔外科専門クリニックを受診。歯科麻酔専門医による静脈内鎮静法を選び、「うとうとして気がついたら終わっていた」と話します。抜歯後の腫れも数日で落ち着き、今は定期検診に通うだけです。
口腔外科が対応する主な治療と費用の目安
口腔外科の守備範囲は親知らずだけではありません。歯根の先に膿がたまった歯根端切除術、顎の骨にできる嚢胞や良性腫瘍の摘出、顎関節症の治療、口腔粘膜の病気の検査と治療まで含まれます。高血圧や糖尿病などの持病がある人は、医科の主治医と連携しながら手術を進めるのも口腔外科の得意分野です。
親知らずの抜歯費用は、保険が3割負担のケースで次のような目安になります。
| 処置内容 | 費用の目安(保険3割負担) | 治療時間 | 向いている人 | メリット | 注意点 |
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| まっすぐ生えた親知らずの抜歯 | 2,000〜3,500円程度 | 10分程度 | 症状が軽い方 | 短時間で済む | 埋伏の場合は別の処置に |
| 横向き・埋伏した親知らずの抜歯 | 5,000〜25,000円程度 | 30〜60分 | 腫れや痛みを繰り返す方 | 炎症の再発を防げる | 術後の腫れや痛みが出やすい |
| 4本まとめて抜歯 | 保険適用で約24,600円が上限 | 入院で2〜3日 | 複数本に問題がある方 | 治療回数を減らせる | 全身麻酔なら別途費用がかかる |
| 歯根端切除術 | 保険適用で負担は比較的抑えられる | 30〜60分 | 根の先に病巣が残る方 | 歯を残せる可能性がある | 高度な技術と設備が必要 |
| CTによる精密検査 | 3,500〜4,000円程度 | 当日 | 深く埋まった親知らずの方 | 神経との位置を正確に確認できる | 医院によっては保険外扱い |
| さらに初診料やレントゲン撮影(約1,200円)、痛み止めや抗生物質の薬代が加わります。紹介状なしで大学病院を受診すると、特定療養費として5,000〜7,000円程度が別途かかる点も覚えておきましょう。全身麻酔と入院が必要なケースでは、口腔外科 大学病院 紹介状の有無で総額が7万〜13万円程度まで変わることもあります。 | | | | | |
| 費用を抑えるなら、かかりつけの歯科医院で紹介状を書いてもらい、保険診療の範囲で治療を完結させることが近道です。年間の医療費が一定額を超えた場合は医療費控除の対象になることもあるので、領収書はしっかり保管しておきましょう。 | | | | | |
麻酔への不安は専門医に相談を
「歯を削られる音が怖い」「麻酔の注射が痛そう」といった理由で抜歯を先延ばしにしている人もいます。口腔外科では、こうした不安への選択肢も用意されています。
局所麻酔で対応できるケースが大半ですが、深く埋まった親知らずや治療への恐怖が強い場合は、静脈内鎮静法(点滴麻酔)を選べます。点滴から鎮静薬を投与し、うとうとしたリラックスした状態で治療を受けられるため、治療中の記憶がほとんど残りません。この静脈内鎮静法は自費診療となることが一般的で、歯科麻酔の専門医が担当します。日本で登録されている歯科麻酔専門医は全国に約400人と少なく、専門医が在籍する医院は限られています。
複数本の親知らずをまとめて抜く場合や、持病があって局所麻酔では難しい場合は、大学病院や総合病院の口腔外科で全身麻酔下の手術が行われます。術前の血液検査や心電図検査を経て、麻酔科医が全身状態を管理しながら進めるため、安全性の面では心強い選択です。
福岡市の佐藤さん(52歳)は、抗血栓薬を服用しているため抜歯をためらっていました。主治医と口腔外科が連携し、休薬せずに入院下で抜歯が行われました。医科と歯科の連携体制が整った病院の口腔外科ならではの対応です。
医院選びで確認したいポイント
実際に受診先を選ぶときは、いくつかの点を確認しておくと失敗が少なくなります。まず病院のホームページで、日本口腔外科学会の専門医が在籍しているかどうかを見てみましょう。横向き 親知らず 抜歯のような難しい症例では、専門医の経験値が結果を左右します。
次に、初診でCTを撮影できる設備があるかどうか。深く埋まった親知らずでは、神経の位置を正確に把握するためにCTが欠かせません。麻酔方法の選択肢と担当者の資格も確認したいところです。静脈内鎮静法を希望するなら、歯科麻酔専門医がいる医院を選ぶのがおすすめです。持病がある人や複数本の抜歯を予定している人は、入院対応できる病院を紹介してもらえるかも確認してください。
大学病院は予約が取りにくいのが現実ですが、地域の口腔外科専門クリニックでも全身管理に対応できる医院が増えています。まずはかかりつけの歯科医院に相談し、自分の症例がどの程度の難易度なのかを聞くところから始めるのがおすすめです。
まずは相談の一歩から
親知らずの抜歯は、一度終わってしまえば長年の悩みから解放されます。腫れや痛みを繰り返しているなら、放置するほど周囲の歯やあごの骨への影響も心配になります。
口腔外科 費用 保険を活用すれば、負担は意外と現実的な範囲に収まります。紹介状の有無や麻酔方法、持病の有無によって変わりますが、まずは「抜くべきか、今なのか」を専門医に相談してみてください。静脈内鎮静法や全身麻酔といった選択肢もあるので、痛みへの不安が強い人ほど、早めに相談に行く価値があります。地域の歯科医師会や日本口腔外科学会のサイトで、近くの専門医を探すこともできます。あなたの口の中の違和感が、笑顔を取り戻すきっかけになりますように。